雑 学

 上の写真は ”セブン” の凹型のパーツを紐に替えた知恵の輪で、同型の物(勿論デザインは異なる)は現在数十種類販売されています。これは不完全な環を利用するタイプの物で、不完全な環は何連(段)にしてもやはり不完全で隙間があります。”セブン” も九連環もこれと同じ原理を利用しています。紐と組み合わせると連環側のデザインを変更し易くなり、狭路や迷路を加えた物などいろいろ在ります。
 上の写真は、紐の輪を入れたり出したりする中間位置(操作手数の真ん中ではない)の写真で操作中に紐が交差することは決してなく平行状態で左右に移動するだけです。紐を平行部分を持つ針金の輪にして、写真の上側の環(八個)の付け根に関節を作り、環が自由に動く様にすると八連環に近づくと想像できませんか?。
 後日、下の写真の様な九連環(上下が対称)を自作して解き方を考えて見たところ上の写真の知恵の輪と解き方は同じでした。上と左下と中央の写真はそれぞれの知恵の輪の中間位置(九連環ではオリジナルの位置)で、右下は九連環の一番深い位置に入っている写真です。

  

 ハノイの塔と九連環とセブンの手数の違いについて調べてみました。ハノイの塔が一番簡単でわかり易く、2のベキ乗マイナス1です。九連環もオリジナルの位置ではなく一番深い位置に入れる場合は同じです。
 セブンは九連環では手数と数えられるのにセブンでは隠れたり、手数としてカウントされない操作があり、環の数だけ少なくなりますが、補正すれば同じになると考えても間違いだとは言えないと思います。

 下の図で上側の数字の列は2の0乗から順番に自然数の2のベキ乗数を並べたものです。左から円盤や環の数と同じ個数合計すれば手数となります。またこの数列はどこで区切っても、左の数の合計が直近の右の数より1少なくなり、これが上図右端の式になる理由だと考えています。
 ハノイの塔で一番大きい円盤が消費する手数が一番左で、右へ順番に円盤が小さくなります。九連環も同様で,一番深い位置の環が一手です。
 下の図で下側の数字の列は、上側の数字の列よりそれぞれ1を引いた数列です。九連環の1,2,4,8,16,32,64,128手目が、セブンでは隠れたりカウントされない操作で、すべての環に一手づつあります。
 一番左が七段目の環の手数ゼロ、その右が六段目の環の手数1手、一番上の環は127手消費します。セブンは環数より段数で考えるのが良く、N段のセブンにはN回の入れ子操作が有り、それぞれが2のベキ乗マイナス1手で下図の1から127までの七個の数を合計すれば手数となります。



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 上の写真は私が高校生の頃、手にしたことのあるエレクトロです。これは基本原理は九連環やセブンと同じですが、数学者の先生が三進法で解説されています。
 中心軸と二つの完全な環が対をなし、一つの不完全に閉じられた空間(不完全な環)を作っています。それが三対あり、同じ軸を共有した入れ子の構造になっています。
 ここに三進法になった秘密があるようですが、三進法の知恵の輪は特異な物で他にもあるとすればこれの変形だと思います。
 手数は、n対の時3のn乗マイナス1です。ここでもマイナス1が出てきますが、手数というのはn桁の三進数の最大値(エレクトロの場合、三進数で222=十進数で26手)の様です。私はエレクトロを持っていないので手数を頭の中で数えました。

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 九連環が作られた時代に ”ハート” が無かったら不自然だと私は考えています、むしろ九連環が ”ハート” から進化したと考えてもおかしくはありません。
 ”セブン” は ”ハート” から進化しました。レプリカと言う人もいますが長い間 ”ハート” が二段だったのには理由があります。二段と三段の間には壁があり、出来ないとあきらめて ”ハート” 側を紐やチェーンにして、連(段)数を増やした製品に移行した為ではないかと思っています。
 私は解法を考えながら段数を増やし、操作性を重視して現在のかたちにしました。”セブン” の構造はトップページの写真で分かるようにシンプルで無駄な物はありません。難易度は非常に高く、連環(段)タイプの知恵の輪の頂点の位置にあると思っています。段数が七段以上の物は、作っても操作手数が増すだけでほとんど意味がありません。
 私としては、二段までを ”ハート”、三段以上を ”セブン” と呼んでほしいです。将来、チャイニーズリング ”九連環”、ジャパニーズリング ”セブン” と言われる様になるかもしれませんね。その時私は天国とやらに居ます。
 私が自作した ”セブン” と同じ物を誰かほかの人が作っていないか調べるために、ネットを始めてからホームページ、ショピングサイト、投稿動画サイトなどで知恵の輪の種類等を調べてきましたが見つかりませんでした。

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 2011年08月、この知恵の輪をネット上で見つけました。”セブン” に似ていますが動画を見たところ解き方が少し違ってました。九連環とセブンの中間といった感じで、よく考えられてはいますが論理性が無く ”セブン” とは違います。入れ子の考え方が存在しないからです。

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 上の写真や ”セブン” の凹型のパーツを紐に替えたタイプの知恵の輪の三段以上には解き方が複数あると考えられます。普通に知られているのは九連環と同じ解き方だと思いますが別の方法として ”セブン” の数列を使った難易度∞の解き方があると推測できます。
 参考までに三段の ”セブン” を使った動画を作りYou Tubeに置きましたので見てください、違いがあるのが分かると思います。私は三段しか出来ません。
 操作をすべて暗記しなければならないので、私が今から四段の解き方を考えても出来るかどうかわかりませんが、記憶力の優れた人は出来ると思います。超簡単な九連環の手法があるのに人間に出来ないほど難しい ”セブン” の数列を使った方法を考えるのは無駄なことかもしれません。